■RED AND BLACK extra■舞台と本の日記

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新しいブログへ引っ越しました

(12/8 内容修正)

 下記へ引越して更新を続けています。

 ご面倒をおかけしますが、引き続きお付き合いいただければありがたいです。

◎~2006.1.15  ■RED AND BLACK ■ レ・ミゼラブル2005日記

◎不定期更新中 ■RED AND BLACK extra■ 舞台と本の日記


引越しに伴ってここは更新を止めるため、新規のコメント投稿はお控えください。トラックバックを停止しています。ご容赦ください。

『風を結んで』(2)役者の持ち味を生かした登場人物

白状すると、このお芝居、冒頭から魅了されたわけではないのだ。お笑い担当の平吾たち3人が酒の取り合いをする場面は、今ひとつ弾けっぷりが足りないように感じて、気が乗らなかった。お笑いで言えば「ツカミ」が弱かった感じ。


それが、1幕途中からは昨日書いたように登場人物に引き込まれ、2幕からは物語を前へ進める役者の力に圧倒され、気がついたらあっという間にカーテンコールだった。


こう感じるのはおそらく、役者それぞれの個性を生かして登場人物が設定されていたからではないだろうか。公演パンフレットで役者の誰かが「(TSミュージカル主宰の)謝先生に『あなたにぴったりの役だから』と言われて、やってみようと思った」というようなことをコメントしていたが、確かに、役者の持ち味が芝居に生きているなと観ていて思った。


例えば、旗本・平吾を演じる坂元健児さん。新しい仕事で生きていこうと浪人武士たちを鼓舞するひたむきさは、『キャンディード』のカカンボや『ミス・サイゴン』のクリスで見せた、明るく力強いキャラクターにぴったりだ。(クリスは最後苦悩するけれど、あきらめず道を切り開こうとする意思は、平吾と共通していると思う)


そして武士のまま死ぬことを選ぶ剣豪・右近が、決闘のとき、刀を振り下ろす力もなく崩れ落ちる場面は、いうまでもなく『レ・ミゼラブル』ジャベールの姿が重なった。演じるのはどちらも、今拓哉さん。「俺は用なしの人間なのだと思い知らされたそのときから、剣を持っても力が入らないのだ!」と我を失う武士の最期は、「心震えるのだ 俺の世界消え失せた」と嘆いて身投げした警官に通じる。「自殺」に至る気持ちを繊細に描写していた今ジャベールの演技を思い出したら、右近にちょっと惚れかかった自分のあさましさが恥ずかしくなってしまった…。


余談だけど、公演後のアンケートには
「今後TSミュージカルに出演して欲しい役者を教えてください。(その理由)」
とあった。「理由」が大切なわけ、この舞台で分かった気がする。

『風を結んで』(1)「日の当たらない人生」が、なぜ泣ける

(あらすじは、こんな感じ)

世が明治に変わって間もないころ。刀の所持を許されなくなった武士たちは、明日の生活にも事欠くありさまである。洋行帰りのお嬢様・由起子は、そんな浪人たちを集めて“パフォーマンス”をさせるビジネスを思いつく。身分へのこだわりを捨て、見世物一座に参加した侍たち。そこへ、全国の不平士族たちが各地で反乱の狼煙を上げたという知らせが入る。このまま芸人として新しい人生を歩むか、それとも…。激動の渦の中、浪人武士それぞれが出した答えとは。


(感想ここから)

TSミュージカルファンデーション を初見。

泣いた。
泣きゃあいいってもんではないのだが、誇りを手放す男たちの葛藤を目の当たりにして、何度も涙をぬぐわずにいられなかった。


この作品には、対照的な生き方がいくつか取り上げられている。


「いかに死ぬか」という武士道から外れることのできない剣豪・右近(今拓哉)。「生きて、生きぬく。そのためなら武士を捨てて喜んで大道芸人になる」と言う旗本・平吾(坂本健児)。信念のために死ぬ男に対し、大事な人のために生きようとする男という構図。


「チャンスは自分でしっかりつかまなきゃ」という考えをアメリカで仕入れてきた由起子(絵麻緒ゆう)。「この人のためなら尽くしてみたいという人とめぐり合いたい。それが強さに思える」と信じる静江(風花舞)。2人の女性の好対照な姿勢。


このお芝居を観て最も共感できた点は、これらに勝ち負けや優劣をつけて描いていないことだ。男たちは、日の当たらない人生の中で、失ったよりどころを求めて揺れ動いている。女たちも、自分の考えは本当に正しいのかと想いをはせる。そこで時代の流れに乗ろうが置いていかれようが、決めた道を貫こうとする者に、「勝ち組」も「負け犬」もいない。


泣けたところといえば、佐々木という武士が、将来を悲観して身投げしようとしていたところを救われ、見世物一座に連れてこられた場面だ。「かつて自分の家に仕えていた下男が、いまや人力車引きとなった私の客となり、こづかいまで握らせたのです」と告白する様子に、最初の涙がこみあげてきた。体面を捨てて傷ついた誇りに、世間はさらに塩を刷り込もうとする。一座に集まった男たちに共通する痛みだろう。後に、この佐々木は反乱士族を取り締まる警察側のスパイであり、この話は偽物だと分かるのだが、それにしても観ていてつらかった。


さらに、1幕最後で一座の集合写真を撮るシーン。右近が後列端に加わってポーズを取ろうとする姿に、涙がぼろぼろ出てきた。武士道精神が骨の髄までしみこんでいるこの男は、家を守るためなら妹・静江を身売りするのもやむなしとする。そこを救った平吾への借りを返すため、右近はしぶしぶ一座へ参加しており、仲間とはどこか一線を引いているのだが、写真撮影のときはけなげに芸人としての職務を全うしようとしているのだ。こんな格好でいいのかな、この位置でいいのかな、と姿勢を微調整している右近。自分の存在理由そのものである武士道を捨て、見世物になる苦しみに黙って耐えている。私の中では、ここがお芝居のクライマックスだった。


印象深かったキャストのことなど、また今夜。

タナボタ企画『魅せられて日本』 (2)

タナボタ公演を観るもう一つの楽しみは、衣装プラン担当:岡幸二郎さん肝入りのコスチュームを堪能することにあります。

伊藤恵理さん、堀内敬子さんの着物姿が可愛らしかったなあ。注目したのは後ろ姿。着物の知識はほとんどなくて申し訳ないのですが、今まで見たことのない帯の結び方でした。伊藤さんは、観賞用の金魚「りゅうきん」の尾びれのように、ひらひらが重なった結び目。堀内さんは、菱形がいくつか重ねられた形に結んでありました(記憶違いで逆だったらごめんなさい)。なんていう結び方なんでしょう? 着物の柄もおしゃれだったので、どこのお店のものか知りたかったけど、パンフには書いてありませんでした。

ヘアスタイル。堀内さんは、おかっぱ頭をアレンジしてボリュームを出した感じ。終始、はすっぱなキャラを演じていたのですが、そんな娘らしさにぴったりでした。伊藤さんはレトロなアップスタイルだったかな? どちらも、パンフやちらしの衣装とは違っていました。

2幕は歌に合わせて、洋装にチェンジ。特に、オールディーズコーナーの60年代風ワンピースやパンタロンがすてきでした。

堀内さんは16歳の女の子になって、ノースリーブのふんわりした白いワンピースを着こなしていました。本人は「…かなり無理があるわっ!」と笑ってましたが、すごくキュート。見とれちゃいました。顔は丸くて幼い面影があるのに対し、足が細くてちっちゃいこと(どこ見てるんだかって感じですが)
! だからこんな服が似合うのね。

伊藤さんは、ペアで歌った岡さんに「君は年上~♪」なんてつっこまれてましたが、なんのなんの、言われなきゃ分からない! 声もつやつやだし、今でも「ミス・サイゴン」の初演で演じたキムができるんじゃないかと思ったほど。こう書くと、なんかヨイショしてるみたいですけど、ほんとにそう思いました。

次回の更新は、アメーバblogのメンテナンス終了後の7/4(月)になります。

タナボタ企画『魅せられて日本』(1)

出演

(タナボタ企画)林アキラ、岡幸二郎

(ゲスト)伊藤恵理、堀内敬子

構成・演出…忠の仁(タナボタ企画)


行ってまいりました。

タナボタ公演、これまで笑いすぎて涙が出たことはあるのですが、今日は不覚にも歌声に涙腺を刺激されてしまいました。こんなはずじゃなかったのに…。 でも、期待をはるかに上回って満足。日本ミュージカル界のトップクラスを誇る歌のレベルに、あり余るほどのエンターテイナーぶりが加わっている、ぜいたくなこの企画、毎回楽しみにしています。


ミュージカルのナンバーでつづる通常のタナボタ公演とは趣を変えて、今回は日本のメロディーで構成されたコンサートです。なんとオープニングは「赤とんぼ」。童謡から始まりました。ゲストの伊東恵里さん、堀内敬子さんの澄み通った第一声に、「むむ。これはただものではないステージが始まるな」と、期待がふくらみます。懐かしい歌の数々が、プロにかかるとこんなに生まれ変わるとは…。岡さんも好きだという曲「この道」(北原白秋/山田耕作)では、自分の家族のことを思い出して、ぽろりと泣いてしまいました。恥ずかし…。


その次は「浅草オペラ」コーナー。このジャンルは今日初めて知ったのですが、とってもハマりました。 大正時代に入ってきた、カルメンやボッカチオといったオペラ・オペレッタの曲に、庶民的な日本語詞をつけた歌のことで、当時の歓楽街だった浅草で盛り上がったそうです。「ベアトリ姐ちゃん」というのは、原曲の「ベアトリーチェ」を訳したものだったとは初耳。確かにすごいセンスだわ。 当時は、少年配達夫が自転車に乗りながらオペラのメロディーを口ずさむほど、広く親しまれたとのことです。今よりよっぽど豊かな文化が花開いた時代だったんですね。でも関東大震災によって東京が壊滅的な打撃を受けたことにより、浅草オペラの灯も消えてしまいました。


このコーナーでは岡さん、ここぞとばかり声を伸び伸びと張り上げて歌っていました。オペラですもの、歌い甲斐があるでしょうね。一時の不調を経て、もともとあった声のつやに気持ちのひだが加わったような感じ。うまく言えないですが、「復活」というよりは、進化した新しい歌声に出合った気がしました。


余談ですが、その昔、帝国劇場でもオペラが上演されていたそうです。東宝に歌劇部というのがあったそうな。でも残念ながら、あまり流行らなかったらしい…。


さて「古賀政雄コーナー」を経て、2幕はオールディーズと歌謡曲メドレー。「VACATION」では、客席から紙テープがしゅるしゅる~と飛びました。実はこれが、タナボタ企画から観客へのお願い  だったのです。私は結局、紙テープを持って行きませんでした…。小心者でごめんなさい。盛り上げてくれた観客の方、ありがとう。岡さんはステージに届いた紙テープを取り上げて「なんだか、五色そうめんみたい…」とつぶやいてました。


歌謡曲コーナーでは「赤いスイートピー」「いつでも夢を」「いとしのエリー」など親しみある作品が続きます。ミュージカルの人たちが歌うと、歌詞に感情移入したくなりますね。


ラストの曲で、また不意をつかれました。林さん、岡さん、伊東さん、堀内さんの4人で「今日の日はさようなら」を丁寧に歌ってくれたのです。うわーん。なぜ、また泣かせるのさ…。こども時代、みんなこれ歌いましたよね(いまの子はどうだか知らないけど)。幼いころの思い出も、彼らに歌ってもらうと、新しい発見があります。ただ昔を懐かしむだけじゃなくて、今、この日を大切にしなくちゃという気持ちになるから不思議です。


この公演で一番心に残った出演者は、林アキラさん。小田和正の「言葉にできない」を歌っている姿に、引き込まれました。温かくて、もの悲しくて、でもずっと聞いていたいような…。もし、丸の内や大手町のビジネス街に突然林さんが現れてこれを歌いだしたら、通りかかったサラリーマンは皆立ち止まって泣いてしまうんじゃないだろうか、なんて考えながら聴いていました。ご存じのとおり、彼は元・うたのお兄さんで、「レ・ミゼラブル」の司教役、「屋根の上のヴァイオリン弾き」の本屋役などでミュージカルファンにはおなじみの方です。


その林さん、「涙そうそう」(夏川りみ)では、ふと上を向いて目をしばたいていました。涙をこらえているような…。けれどさすがプロ、涙声にはなりません。その後のMCも明るい声で通していました。でも、上を見ながらあのとき、どんな想いが込みあげていたのでしょうか。

明日は、衣装のことなど。

6月のちらし大賞

ちらしだけでなく、作品のイメージを決めるビジュアル全般を対象に、独断で考えてみました。 エントリー作品は以下の5つ。 私が今月観たものの中から選んでいます。画像の大きさがまちまちですが、他意はありません。ご容赦ください。


(エントリー作品)
・ラ・マンチャの男  ・ナイン the musical  ・箱根強羅ホテル  

・ヘドウィグ アンド アングリーインチ

・タナボタ企画 Nothing But Japanese 魅せられて日本


【ほのぼの賞】 Nothing But Japanese 魅せられて日本

ちらし画像は、リンク先から「今後の予定」を見てください。

キャスト写真と、手描き風のイラストを組み合わせたデザインが可愛い。大正ロマンな書体も面白い。でも裏面の情報まで、すべてこの書体なので、ちょっとメリハリがつかなかったかも。惜しい。



【すっきり賞】 ラ・マンチャの男

らまんちゃ

骨太で力強い舞台のイメージがよく出ています。あの欧文ロゴは、日本人スタッフが考えたのかな? とてもカッコいい。昔は、もっと色や写真をたくさん使ったビジュアルだったときもあるようですが、私は断然、現在版を支持。なお、東宝の「ラ・マンチャの男」ホームページは「お名残惜しゅうございますが」、7月末で終了するそうです(東宝の演劇では、観客に独特の言葉遣いしますよね… まんざら嫌いじゃないですけど)。


【スタイリッシュ賞】 ナイン the musical

nine

ちらしを観ただけではどんな芝居か分からない、謎めいたところが魅力かも。でも、せっかくすてきなヘアメイク・衣装なんだから、それを前面に出したポスターも観たかったな。16人の女性が一同に会した写真は壮観だと思うけど、どうでしょう?


【オリジナリティ賞】 箱根強羅ホテル

はこね

素朴なイラストが、このお芝居のすっとぼけた笑いの感じを、ちょうどぴったり表しています。その意味で、とても独創的。でもなぜバレリーナの絵なのかは分からず。話の中に出てきたっけ? 理解不足でしたらすみません。パンフレット表紙デザインは、装丁界の大御所、菊池信義氏によるもの。


【☆大賞☆】 ヘドウィグ アンド アングリーインチ

hed

美しい。ビジュアルに現れている彼のプライドが。「観たけりゃ観てもいいのよ、あんたたち」と高飛車に言っているかのような、ヘドウィグの流し目… 理屈ぬきで、やられました。初演のちょっとラブリーなテイストより、べっとりした感触のこっちの方が好きだわ! なんでだろう…

タナボタに行く皆様っ!

七夕ではありません。タナボタ企画 です。林アキラさん、岡幸二郎さん、忠の仁さんのユニットです。いま「Nothing But Japanese 魅せられて日本」と題してツアー中。岡さんのふるさと福岡県大川市の公演、名古屋公演を経て、いよいよ明日29日と30日の東京公演でフィナーレです。


ツアー中も、まめに更新されていたホームページ(上のリンク先です)、先ほどチェックしたら、なんと、東京公演のお客さまに「お願い」が書いてありますよ。


どうしましょう、このお願い。参加したいけど、そういうことするの初めて。うまくいくかな? 第一、どこに行ったらそれ買えるの? まさか会場では売ってないですよね。売っててくれたらうれしいけど。


当日の装いも「趣向を凝らしてご来場ください!」とあります。ま、このイベント楽しみにしてる人なら、もう何日も前から「何着て行こうかな~」と鏡の前でとっかえひっかえしてるでしょうね(まさしく自分のこと)。


『シアターガイド』 7月号のタナボタ小特集も読み応えあり。タナボタ10年の歴史を、ご本人たちが語ってます。あんな格好、こんなポーズをしながら(いいのか、ジャベール…)。お勧め記事です。



『SHAKESPEARE'S R&J』男だけのロミオとジュリエット

今、かばんに入れて持ち歩いて読んでいる本は『ロミオとジュリエット』 です。ははは、いい年して恥ずかし…。本当はこっちのほう を買うつもりで、本屋さんに行ったのですが、解説が大人にはやや物足りなかったので(そりゃそうです。少年少女向けの企画シリーズですもの)、やはり戯曲そのものを読むことにしました。


電車の中で読むのは照れるのでやめようと思ってたのですが、読み出すとそんなこと気にする間もなく、引き込まれてしまいます。シェイクスピアといえば、あの長いせりふで有名ですが、この話は言葉の修飾一つひとつが美しく、くりかえし味わっても飽きることがありません。


読んでいて、2月にパルコ劇場で観た『SHAKESPEARE'S R&J』を思い出しました。これは、厳格なカソリックの男子高校の寮仲間が、夜中にこっそり読みだした『ロミオとジュリエット』に夢中になり、自分たちで演じ始めるという設定のお芝居です。


男と女の恋物語を、男だけで演じているわけですが、それによって、ロミオとジュリエットの物語がいかに普遍的な力を持っているのか、よりくっきり伝わってきたと思います。恋に落ちるのに理由は必要ないこと。自分と相手を固く信じる気持ち。信じる者のために、ためらわず疾走する姿…。その想いの強さは、性別や国や時代の違いに関係なく、こちらへ迫ってきます。


戯曲を読んで、『R&J』の芝居で使われていたせりふが、ほぼ原作に忠実だったということが分かりました。このクラシックな言葉遣いが、男子校の生徒たちだけという異色の登場人物や、椅子と赤い布だけという現代的な舞台装置と、不思議な相乗効果を成しているのです。


設定だけみれば確かに変わった「ロミオとジュリエット」なのですが、この禁欲的な背景があってこそ、ロミオとジュリエットの悲恋が「昔の名作」「上流社会のお話」にとどまることなく、現代に通用する力強いメッセージとして浮かび上がってきたのではないでしょうか。


ジュリエットはまだ14の春も迎えない年。若さゆえに一途に走りぬけた恋の、ひりひりするような感触を表現するのには、やはり高校生という設定で正解だったのでしょう。再演を希望する舞台です。

R&J  

SHAKESPEARE'S R&J  キャスト 首藤康之、佐藤隆太、小林高鹿、浦井健治

『M!』の大阪版パンフレット読んでます

明日、大阪公演千秋楽を迎える、ミュージカル『モーツァルト!』。 先日観てきた家族が、おみやげにパンフレットを買ってきてくれました。ベージュの方が今年の大阪版、黒い方は2002年初演時の帝劇版です。

M


本文デザインは、だいぶ変わっています。初演版の凹凸のある紙は使っていません。プリンシパルの写真で初演時と変わっているのは、ヴォルフガングの2人と、ナンネール、久世男爵夫人でしょうか。男爵夫人、よーく見たら指輪の位置と数を変えてきてますね。


初演版にあった、場面ごとの登場人物を紹介するページがなくなっていました。『レ・ミゼラブル』パンフでいえば、香盤表にあたるものです。再演なので、省かれたのでしょうか。でもこれがないと、アンサンブルの識別が私には難しそうだな。


舞台美術、衣装デザイン担当の方のコメントもなし。初演版では衣装の方が「ヴォルフガングに近い人ほど現代的で、遠くなるにしたがって、18世紀のスタイルで対比させた」と書いていて、なるほどと思いました。

こういう視点からの記事がなくなったのはちょっと残念。


読み物はそれなりに増えていて、初演版になかった種類のものでは、M!ゆかりの地をめぐるザルツブルク・ウィーン紀行文、クラシックファンの漫画家さんによる劇中の楽曲解説などがあります。


特にしっかり読んだのは、演出の小池修一郎さんのインタビュー「演出の裏側を語る」。ウィーン版、ハンブルク版などの流れや印象を踏まえて、日本版をどのように見せていくか試行錯誤した過程がうかがえます。これを読む限り、各バージョンで演出意図に違いがあるようで、ヴォルフガングとお父さん、アマデなどとの距離感が、少しずつ変えられているようです。


インタビューの最後に、ヴォルフガングとアマデが重なるようにして息絶えるシーンの写真があります。苦悩しているのか安らいでいるのか、どっちともとれない表情。なぜあの若さであのように死んだのか、その謎から書き起こされた作品ということなのかな…。


東京版のパンフは、また内容が変わっているかもしれません。

うっかり口に出せない歌

またやっちゃいました。
だれもいない夜、自転車でつーっと坂道を下りながら、気分良く歌ってしまったのです。

♪「ぶち込むぞ! 鉄格子 この星に誓う 俺はぁーーーー!」
(「レ・ミゼラブル」より「スターズ」)

そこまで歌って、ひゅっと角を曲がってみたら、歩行者がけげんそうにこちらを見ていました。聞かれてしまったか。しかもこんな物騒な歌詞を。無意識に出てくるから怖いなあ。

昼間に、小声で出ちゃったこともありますね。せまい路地を歩いていたときのこと。

♪「あのお巡りは、いつでもドジ!」
(「レ・ミゼラブル」より「エポニーヌの使い走り」)

ふと見上げると、そこには交番が。
お巡りさんは留守でした。良かった…。いや、何もやましいことはしていないんですけどね。

次の更新は、土曜の夜になります。
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