トニー賞についての番組を観て | ■RED AND BLACK extra■舞台と本の日記

トニー賞についての番組を観て

日曜夜の楽しみの一つに、NHK教育テレビの「芸術劇場」があります。

今夜は、先日発表されたトニー賞受賞作の紹介と、賞獲得をめぐる攻防について、取材も交えて伝えていました。


現地の演劇記者の話が興味深かったです。ブロードウエイ取材歴20年という彼は、毎年受賞作を予想しているそうですが、今年もミュージカル部門の「モンティ・パイソンのスパムロット」をずばり当てていました。でも注目したのは、彼がそう予想した理由です。(以下、日本語字幕を参考にした要約です)


「有力候補はほかにもあった。ただ『モンティ~』は、カラフルで楽しいアメリカのミュージカル。オペラ調のアリアが続く作品や、ヨーロッパのメガ・ミュージカルとは違う。いまは、難しいことを考えずに笑える作品が求められている。こんなふうに、作品の波は入れ替わっていくものだ」


この作品が受賞作に選ばれた背景、つまりアメリカの現在を考えさせられるコメントです。


トニー賞受賞というのは観客動員を大きく左右するとのことで、ノミネートされた作品の関係者は受賞を目指して積極的に選考委員へアピールをするそうです。去年の受賞作「アベニューQ」は、プロモーションが奏功した例とのこと。同じようなことが起きたのでしょうか、今年の演劇部門では大資本に寄らない作品に光があたったようです。