論争を呼ぶジャベール? | ■RED AND BLACK extra■舞台と本の日記

論争を呼ぶジャベール?

外国のジャベールの話です。念のため、ご存じない方のために補足すると、ジャベールというのは「レ・ミゼラブル」でジャン・バルジャンを追い続ける警部の役です。

『シアターガイド』 7月号を読んでいたら、ジェローム・プレドン(Jerome Pradon)という、フランス出身の俳優さんのインタビューがありました。彼が演劇学校を卒業してすぐ、フランス再演版「レ・ミゼラブル」のマリウスに抜擢されたのは1991年のこと。その後、「ミス・サイゴン」のクリスや「JCS」のユダなどを経て、2002年にはウエストエンドでジャベールを演じていたそうです。

インタビューによれば、そのときの「珍しい役作り」が論争を巻き起こしたとか。へー。どんな芝居をしていたんだろう? 

彼が答えるには、ジャベールという人間は「絶対変なやつ」で、しかも「完全なノイローゼ」(!)。原作の人物像を大切にして情熱的に演じたそうですが、プロデューサーには「もっと抑えて!」と言われたと、自分で笑っています。(詳細は『シアターガイド』7月号をどうぞ)

記事からすると、なんだかぶっ飛んだジャベールだったようですが、自分の公式サイト では割とひかえめなお答えをしています。

「ジャベールには同情する部分がある。過去の自分自身を見つめて、人生のどこで間違えたのか振り返るところはとても心を動かされる」
「とても魅惑的だ。本来の自分を見失って心を閉ざし、道を誤った男だ」
(自己流訳なので、公式サイトのinterviewを参照ください)

実際に彼は、ジャベールのどの場面をどう演じて論争を呼んだのか? 残念ながら、それは記事に書かれていません。シアターガイドの記者さん、そこをちょっと突っ込んでくれたらありがたかったのにな…。この日記も、結局、彼について中途半端な内容しか伝えられず、もどかしい感じですみません。

この役は極端な設定だけに、俳優によっていろいろ異なる解釈が生まれやすいのでしょう。情熱的なあまり、周りが抑えにかかったジャベールか…。ジェロームさんの演技については観ていないので何とも言えません。でも演じる役について、自分の言葉で考え、語ることのできる俳優さんは好きです。